望月青果店【読書録】
青果店が実家の鈴子が、大雪で停電している間に
家族のこと、今までの人生のこと、そして幸せについて思いを馳せる
小手鞠 るいさんの長編小説『望月青果店』を読みました。
『望月青果店』
小手鞠 るい
中央公論新社
2011-08-25
久しぶりに読んでいる途中から涙が止まらなくなる小説でした……。
母と娘の関係。故郷への想い。
私は母子家庭なのに母との関係が希薄で
そこにとてもコンプレックスを持っていて。
鈴子と同じように実家に帰っても「もうこの家には戻らない」って思いながら毎回家をでるのは一緒。まあ結局また帰るんだけど。
働いて「自立」とある意味いえるようになってからも
どこかもんもんとしているとしているのはここが解消できていないからっていうのは自分でもわかっていて。
いつか、ラストの鈴子のような感情が芽生える日はくるのかな。
いつか、鈴子にとっての誠一郎のように、
何も考えずにああ、幸せだなあって思える人は現れるのかな。
隠れ家はみつかるのかな。
と、自分の中の不安と希望が静かにぐつぐつと一緒に煮詰められるような、
悲しみや寂しさの中に光がある、まさに月明りのような小説でした。
この本を「30代になる前に読んでおくといいよ」とオススメしてくれた方の言葉の意味も理解できたつもり。
女性的な感情の揺れ動きがとてもリアルに描かれていて共感しやすい、
女性の作家さんらしい一冊でした。
ただ、
50代になっても、この感情たちと向き合わなきゃいけないのかと思うとちょっとツラい。笑
私はもう少し、大人になっていたいな……。